【あとがき】『3年目の受験』(2023-01-28, #425587 monogatary) ― 2023年01月29日 00時23分
『3年目の受験』 追記:公開終了しました。移転公開未定。
投稿日: 2023-01-28
ジャンル: ヒューマンドラマ・日常系
字数: 約400字
お題「受験生と母」への投稿。
本作は400字程度の掌編小説。なるだけ短くなるように心がけた。
以下 ネタバレ
しかし、以下のような場合がありうる。
・母親がいない受験生
・母親がおらず、他方で父親が二人いる受験生
・むしろ母親が二人いる受験生
・実母も養母もいる受験生
ゲイのペア、あるいは、レズビアンのペアのもとでの受験生の物語も書きたかったが、
ここでは母親がいない受験生の物語を書いた。
さて、お題の「受験」という部分が、なんの試験かも特定されていない。
大学や短大、専門学校、高校、中学校、小学校、幼稚園などとともに、
運転免許試験と捉えた人も、さらには死後の中陰と捉えた人もいた。よい着想である。
もちろん、「最後の審判」のように解釈することも可能なのであろう。
当初の表題は「3回目の受験」であった。
本作では、「入試」とは叙述していないはずだ。
なぜならば、この試験は司法試験だからだ。
法科大学院(ロースクール)制度導入後しばらくは、修了後5年間、かつ、3回までの受験に限られていた。
3回目の受験ということは、ラストチャンスなのだ。
だが現行では、回数制限は撤廃されている。
説明すると話が長くなってしまうので、思い切って省いた。
いちいち説明しないとほとんどの読者には解らないことは、私自身もわかっている。そこまでひとりよがりではない。
また結果的にみても、司法試験の物語では読者層の多くが、
司法試験が出てくる時点でもう主人公に共感しない、拒絶してしまうのではないかという気がする。
「なんの試験か」を具体的に示さないほうが、多くの人々に届くと思うのである。
さらには本作に限らず、小説では具体的に叙述しないほうがいいことが多いと思う。
読者が想像して、物語を「我がこと」として消化してほしいのだ。
以上
【あとがき】『わからない』(2023-01-28, #425568 monogatary) ― 2023年01月29日 00時06分
「わからない」という語がモチーフである。
冒頭では受験生のよくある悪夢を叙述している陽動作戦をとっている。
この陽動作戦は、作品冒頭をキャッチーにする以外に、後半の「母」登場を予期させづらくする意図もあった。
受験生の心情と、母親の心情と。
互いの望むもののすれ違いを表現している。
私としては本作は、読者の共感を呼ぼうとする、いささかあざとい作品になったのではないかと思っている。
ただ、受験結果に固執しがちな一般感情に対し
その過剰な使命感、緊張、力みをそっと和らげようとする優しさが、本作の持ち味だと思う。
by 和順 萌絵 [作品あとがき] [コメント(0)|トラックバック(0)]